【技術コラム 『絶縁階級』第5回】

ハンダが乗らない?「加工性」と「コスト」のリアル

「何でも高グレード」にできないもう一つの現実的な理由が、「加工性(作りやすさ)」と「コスト」です。 

現場でE種やB種(ポリウレタン線など)が圧倒的に愛用される最大の理由は、「被膜を剥がさずに、そのままハンダの熱で溶かして結線できる」という圧倒的な作業性の良さにあります。

一方、H種のポリイミド線は熱に強すぎるため、ハンダの熱では被膜が溶けません。結線するためには、機械的・化学的に被膜をカリカリと剥がす工程が追加で必要になり、部品加工コストや組立工程コストが跳ね上がってしまいます。

また、絶縁材料の寿命は温度に対して指数関数的に短くなります。 

むやみに高価な高耐熱材料を使うのではなく、E種やB種の中で「いかに熱を逃がして温度上昇に余裕を持たせるか」を熱設計でカバーする方が、モータのパワー(占積率)を維持したままコストを抑え、寿命も延ばすことができるのです。

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