【技術コラム 『絶縁階級』第4回】
「占積率」が下がる。高グレードがもたらすパワーダウンの罠
高耐熱の材料(H種やF種など)を使えば熱には強くなりますが、モータ設計において極めて深刻なジレンマが生じます。
高耐熱の樹脂や、それに合わせる絶縁シート(スロットライナ)は、熱だけでなく高電圧サージなどに耐えるため、結果的に「皮膜やシートの厚み」が増してしまう傾向にあります。
絶縁層が分厚くなると、モータのコアの溝(スロット)に巻き込める銅線の量が物理的に減ってしまいます。これを「占積率(せんせきりつ)が下がる」と言います。
銅線の量が減れば、当然モータのパワー(トルク)は落ちます。
「熱には強くなったが、本来のパワーが出ないモータ」になってしまっては本末転倒です。出力を上げたいが、温度上昇は抑えたい。 この相反する要素のギリギリの妥協点を見極めることが、絶縁設計の最も泥臭く、最も腕が問われる部分なのです。
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