【技術コラム 『減速機』第4回】
「出力300W、減速比50で!」の落とし穴とプロのマージン
私たちがお客様から、「出力は300Wにして、回転数を3000のモータで減速比を50としてください」といったご指定をいただくことは少なくありません。
しかし、実はこの情報だけでは、最終的な「トルク」が確定しないため、最適な選定ができません。
第2回で「減速比30なら理論上トルクは30倍になる」とお話ししました。
しかし現実には、歯車同士の摩擦や軸受の抵抗によって、エネルギーの一部が必ず熱として失われます。
一般的なカタログなどでは「伝達効率95%」と書かれていることもありますが、現場のプロはこれを鵜呑みにしません。
例えば、減速比30を作るためには、通常内部でギアを「2段」組み合わせる必要があります。1段あたりの効率が90%だとすると、2段では「0.9 × 0.9 = 0.81(81%)」まで効率が落ち込みます。
つまり、実運用を考慮すれば「伝達効率は80%」として計算し、30倍ではなく「30 × 0.80 = 24倍」のトルクしか出ない前提でセーフティマージン(余裕)を確保しておくのが、現場で失敗しない鉄則なのです。
メーカーが「効率90%」と謳っていても、温度によるグリスの粘度変化などで効率は必ず変動します。 だからこそ、「最終的に出力軸でどれだけのトルクが必要か」を教えていただき、そこから十分なマージンを逆算して設計することが絶対条件なのです。 ---

