【技術コラム 『トルクリップル』第5回】

最強の磁石が正解とは限らない。プロのモータ設計術

モータの設計において、トルクリップルを抑え込むのは非常に高度な技術が求められます。 

■ シミュレーションによる形状の最適化

実際の開発現場では、いきなり試作品を作ることはしません。 磁極の数、鉄心の形状、磁石の配置など、様々なパターンを磁気解析ソフトでシミュレーションし、最適な組み合わせを算出します。

例えば、ステータやロータの歯をあえて斜めにする「スキュー構造」や、磁石を斜めに配置する「スキュー着磁」などを用いて、磁力の変動を滑らかにする工夫を凝らします。

■ プロのリアルな失敗談:「強すぎる磁石」の罠

近年は省エネ志向から「モータの電力効率を上げてほしい」というご要望をよく頂きます。 効率を上げるには、磁石の磁力を強くするのが手っ取り早いのですが、ここに大きな罠があります。

磁力が強すぎると、トルクリップルの原因である「コギングトルク」も極端に大きくなってしまうのです。 

私が過去に、効率を極限まで追求して「極端に磁力の強い磁石」を使った試作モータを作った時のことです。 組み立てる際に部品が吸い込まれるほどの磁力で期待が高まりましたが、いざ回してみるとトルクリップルがひどすぎました。 机に固定して低速で回しただけなのに、激しい振動が机に伝わり、実験室中に凄まじい異音が響き渡るという恥ずかしい思いをしました。 

モータ設計は「一つの性能(効率など)だけを追い求めては成り立たない」ということを痛感した経験です。 

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