【技術コラム 『イナーシャ』第6回】
プロが実践する、イナーシャを考慮したモータ選定の5ステップ
全6回にわたり、回転運動を支配する「イナーシャ」について解説してきました。
最後に、私たちプロが実践している「イナーシャを考慮したモータ選定」の具体的な流れを公開します。
1. モータ自身のイナーシャ計算:モータ内部の回転軸が持つイナーシャを算出します。
2. 負荷イナーシャ算定:駆動対象(ベルトやアーム)の質量と形状からイナーシャを計算します。 減速機を使う場合は、減速比を考慮した「反射イナーシャ(見かけ上の重さ)」として算出します。
3. 負荷トルクの算出:摩擦力など、回転を維持するために必要な力(トルク)を機構の構造から導き出します。
4. 加速トルクの算出:ここが重要です。 目標とする到達時間までに加速させるために必要なトルクを、「T = Iα」(I: ①+②の合計イナーシャ、α: 角加速度)の式を使って求めます。
5. モータの選定:③の負荷トルクと④の加速トルクの合計値に「安全率」をかけたものが、モータに求められる最終的なトルクです。 安全率を高くしすぎると、モータが無駄に大きくなりコストも跳ね上がってしまいます(オーバースペック)。 効率、応答性、耐久性、そしてFETの焼損などを防ぐ電気的安全性。これらすべてが最適なバランスになるよう設計すること。 これが、モータメーカーの腕の見せ所です。

