【技術コラム 『損失・発熱・放熱』第3回】

なぜ鉄心は「薄い板の積み重ね」なのか?IHと同じ「渦電流損失」

もう一つの鉄損が「渦電流損失」です。 

モータ内部で磁界が切り替わると、それに抵抗しようとして鉄心の中に逆磁界をかけるための電流がぐるぐると渦を巻くように流れてしまいます。 これが渦電流損失です。 

実は、この「渦電流がぐるぐる回って熱が出る現象」を逆に利用したのが、ご家庭にある「IHクッキングヒーター」です。IHがいかにお湯を早く沸かせるかを考えれば、渦電流がいかに強烈な熱(損失)を生み出すかがよく分かると思います。

この渦電流損失は、モータの速度の2乗に比例して大きくなるだけでなく、「鉄心の厚みの2乗」にも比例して上昇するという厄介な性質を持っています。 

皆さんはモータの中身を見た時、「なぜ鉄の塊(一体物)で作らず、わざわざ薄い鉄板を重ねているんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?

それは、この渦電流損失を抑えるためです。モータ各社は、鉄の板を薄く打ち抜き、1層1層に絶縁体を塗って積み重ねる(積層鉄心にする)ことで、渦電流が大きくなるのを物理的に分断し、損失を低くするための大変な努力を日々行っているのです。---