【技術コラム 『IP規格』第7回】

水と粉に勝つ「IP69K」の限界と、その先にある「粉塵爆発」の壁

これまで解説してきた通り、IP規格における防塵の最高等級「6」は、粉塵の侵入を完全に防ぐ完璧な密閉構造を指します。 さらに、熱湯を高圧噴射されても浸水しない究極の防水等級「IP69K」を組み合わせれば、食品工場や製薬工場での厳格な高圧洗浄・消毒作業にも耐えうる最強の衛生・防水モータが完成します。

しかし、小麦粉や砂糖、粉乳、あるいはEVバッテリー製造で使われるカーボン粉末や金属粉が舞う現場では、「水や粉が入らない(IP6X)」だけではクリアできない、もう一つの恐ろしい脅威が存在します。それが「粉塵爆発」です。

空気中に漂う可燃性の粉塵は、小さな火花やモータ表面の過熱(熱源)ひとつで、一瞬にして大爆発を引き起こす危険性を秘めています。

どれほど「IP69K」で完璧に密閉されていても、モータ内部の電気回路でショートが起きてケースが破裂したり、ロック時にモータ表面が数百℃まで熱を持ったりすれば、周囲の粉塵に引火してしまいます。

そこで求められるのが、粉塵の侵入を防ぐ(IP6X)だけでなく、万が一の表面熱や内部発火でも粉塵に着火させない構造基準「粉塵防爆(Ex tb IIIC)」です。粉(粉塵)と水の両方が舞う過酷なプラントでは、「高密閉(IP)」と「防爆(Ex)」のダブルクリアが真の安全規格となります。 

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