【技術コラム 『寿命』第5回】

最大の敵は「熱」と「急激な温度変化(ヒートショック)」

モータの寿命を決めるあらゆる部品に共通する最大の敵は『温度(内部発熱)』です。 

しかし、単純に「熱いからダメ」なわけではありません。プロの現場で最も恐れられているのは**「急激な温度上昇と下降の繰り返し(ヒートショック)」**です。

モータを構成する金属や樹脂は、それぞれ熱による伸び縮み(熱膨張率)が異なります。短いインターバルで急激な加熱と冷却を繰り返されると、この収縮差に耐えきれず、モータ内部で深刻な物理的破壊が起きます。

・インシュレーター(樹脂部品)の破壊:ひび割れを起こす。

・絶縁コーティングの剥がれ:コイルに使われているエナメル線(ポリイミドなど)の絶縁コーティングがパキッと剥がれ、ショートを引き起こす。

・ハンダのクラック:基板や配線を繋ぐハンダにひび割れが生じ、断線する。

私たちモータメーカーが「10年使える長寿命モータ」を開発する際、あえて高温槽と低温槽を激しく行き来させる過酷なテスト(加速寿命試験)を行い、意図的にこの「酷な状況」を作り出して耐性を検証しています。それほどまでに、「急激な温度変化」はモータの命をゴリゴリと削る最大の要因なのです。

だからこそ、「起動時の急激な速度上昇指令(急加速)」でドンッ!と大電流を流して急激に発熱させるような運用は、モータの寿命に極めて悪影響を与えます。 滑らかな速度制御は、モータの寿命を延ばす上でも必須なのです。 

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