【技術コラム 『ブレーキ』第6回】

後悔しないブレーキの選び方と、あえて逆を行く「励磁式」の知恵

全6回にわたり解説してきたブレーキ付きモータ。 最後に、システム設計において「後悔しない」ための選定基準と、プロならではの応用設計をまとめます。

■ 保持か、制動か、スペースか

まず「停止させた状態を保持し続ける必要があるか」を見極めます。 保持力が必要なら「電磁ブレーキ(無励磁作動形)」一択です。

ただし、電磁ブレーキはモータに物理的な機構を合体させるため、全長が長くなります。 設計の最終盤になってから「やっぱり保持ブレーキが必要だ!」となってもスペースが足りない悲劇がよく起こります。

一方、保持力が不要で「とにかく急停止できればよい」のであれば、スペースを取らない「ダイナミックブレーキ」が適しています。

■ あえて逆を行く「励磁作動形」の知恵

一般的に安全対策として使われるのは、停電時にブレーキがかかる「無励磁作動形」です。 

しかし、例外もあります。例えば「駐車場のチェーンゲート」。

もし停電した時にチェーンが上がったまま保持されてしまうと、車が閉じ込められて大パニックになります。そのため、こういった用途ではあえて逆の『励磁作動形(電源ONでブレーキ作動、OFFで解除)』を選びます。こうすることで、停電時には自動的にブレーキが解除され、チェーンが自重で下がって車が脱出できるようになるのです。

「回すこと」ばかりに気を取られがちなモータ選定ですが、無励磁・励磁の違いや、保持・制動の役割分担など「どうやって止めるか」「止めた後どうするか」を見極めることこそが、優れた設計者の腕の見せ所です。