【技術コラム 『ブレーキ』第3回】
自らの力で急停止!「ダイナミックブレーキ」の魔法と弱点
前回は物理的な摩擦を使った電磁ブレーキを紹介しましたが、今回は摩擦材を使わずに急停止させる「ダイナミックブレーキ」の仕組みを解説します。
■ 逆起電力という「自らの力」を利用する
モータは電源を入れて回転している最中、内部では常に回転とは逆向きの力(逆起電力)が発生しています。 通常、電源を切るとモータは惰性でゆっくりと止まりますが、この「逆向きの力」をフル活用して急ブレーキをかけるのがダイナミックブレーキです。
原理としては、モータの電源をOFFにした瞬間に、電子回路を使ってモータ内部のコイルの始点と終点をショート(短絡)させます。 すると、惰性で回ろうとするモータ内部で電流が循環し、強力な逆向きの力(ブレーキ)が発生するのです。
■ メリットと「絶対的な弱点」
ダイナミックブレーキの最大のメリットは、物理的なパッドやスプリングを必要としない点です。 モータのサイズをほとんど大きくせずに、扇風機をわずか2〜3秒でピタッと停止させるほどの強力なブレーキ機能を搭載できます。
しかし、明確な弱点もあります。それは「完全停止後は無力になる」ということ。
回転に比例したブレーキ力が発生するため、停止してしまえばブレーキ力はゼロになります。 エレベーターのような落下防止の「保持力」は全く持っていないため、用途を間違えると大事故につながります。
さて、このダイナミックブレーキと原理は似ていますが、人類の歴史を変えるほどのインパクトを与えた「もう一つのブレーキ」があります。次回はそれをご紹介しましょう。
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