【技術コラム 『ブレーキ』第2回】

停電時に命を救う「無励磁式ブレーキ」の仕組みと3つの顔

今回は、ブレーキ付きモータの中でも最も分かりやすい「電磁ブレーキ」について解説します。 

■ 物理的に押し付けて止める仕組み

電磁ブレーキは、モータの回転軸に取り付けられたディスクに、ブレーキパッドを押し付けることで摩擦力により停止させます。 机の上を転がるビー玉を手でギュッと止めるのと同じ、とても直感的な原理です。

このブレーキ機構の内部には「電磁石」と「スプリング(バネ)」が入っています。 

・モータに電気が通っている時:電磁石がONになり、磁力の力でブレーキパッドを引き寄せるため、ディスクが開放されてモータが回ります。

・モータの電気が切れた時:電磁石がOFFになり、スプリングの力でブレーキパッドがディスクに押し付けられ、ブレーキがかかります。

■ 一般的な「無励磁作動形」と、その3つの顔

このように、電気が切れた(無励磁の)時にブレーキがかかるタイプを「無励磁作動形」と呼びます。

エレベーターなどで停電が起きた際、電気が切れると同時に強力なブレーキ(保持力)がかかるため、カゴが落下することなく安全が保たれるのです。

さらに、この無励磁式ブレーキの中でも、用途に合わせて以下の3種類に細かく分かれています。

・保持ブレーキ:停止した状態を維持することに特化したタイプ。

・制動ブレーキ:回転しているものを急停止させることに特化したタイプ。

・制動・保持兼用:急停止させた後、そのまま保持もできる万能タイプ。

ただ「止める」と言っても、これだけの種類があります。次回は、サイズを変えずに強力なブレーキをかける「ダイナミックブレーキ」について解説します。---